お遍路の服装は実は自由でいいんです!等身大のお遍路旅のすすめ

自由な服装で気軽にお遍路を始めてみよう

お遍路さんと言えば、白装束に菅笠、金剛杖が思い浮かぶけれど、
「全身真っ白ってどうなの⁈」
見た目や汚れが気になって躊躇してしまう人もいるかもしれない…

白装束はお遍路さんらしい姿で目が惹かれるため、写真に撮られることが多いんですね。
でも、実際お寺に行ってみると、服装はさまざま。

八十八カ所も巡るんですから、旅のスタイルも分かれます。
どんな服装だと自分らしく楽しめるかは、人によって異なりますよね。

自由と言っても、
お遍路は巡礼になり、普通の観光とは違う目的の旅なので、作法やマナーなどの気遣いは大切にしたいところ。

ではどんな服装がいいのか?
→基本は1日中動き回っても「楽」である
→着るものも荷物になるので「軽い」方がいい
→修行としての「お遍路さんらしさ」も取り入れて行きたい

私は歩き遍路をしながら、この様な考えに至り、季節ごとに行くお遍路旅を楽しんでいます。
購入して良かったものなども紹介していますので、お遍路を考えている方は参考にしてみてください。

目次

お遍路=白装束でないとダメ⁈ という思い込みを捨てる

服装のルールは「安全」と「快適さ」を優先する

 お遍路で歩く所は、街から山へ、川へ、海へと、さまざま。そして参拝するお寺の多くは、自然の環境の豊かで周囲より少し高い見晴らしのいい場所だったりします。
たとえ車で周ったとしても、お寺の中が広かったり、門から多くの石段を登らなけらば本堂に着けない場合もあります。
 基本的には歩くことを前提にして、身動きが取りやすく長時間着ていても楽で、行く季節に合わせた快適なものを着用することをお勧めします。

実際のお遍路さんのスタイルは多種多様

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 歩き遍路さんで1番多く見かけたのは、ランニングや登山などで着るスポーツウェア。その上から袖なしの白衣を羽織って歩くスタイルでした。襟元は汗をかくのでお寺に着いてから和袈裟を付けます。

 一方車で回っているお遍路さんは割と自由。パンツスタイルなど動きやすそうな普段着の上から、白衣と和袈裟を着けている方が殆どでしたが、がっつり全身が白装束の人も少数いました。
 ちなみに、菅笠率は歩き遍路さんの方が断然高く、金剛杖は車の人はなし、歩き遍路さんは持っている人が多かったですね。

お遍路さんが白装束を身につける理由とは?

① 死装束としての意味(巡礼=修行=死の覚悟)

 白装束は、もともと日本では死者に着せる衣装(死装束)
お遍路さんがこの白い衣を身につけるのは、巡礼を「生きながらの修行・死出の旅」と捉えるためです。
巡礼とは「自分を見つめ直す」「煩悩を捨てる」「生まれ変わる」ための旅。そのために、「死を覚悟した姿」で歩くことで、俗世を離れ、真摯に向き合う精神を表しているんだそう。

 確かに、現代のように情報がスムーズでない時代、どんな場所を巡り、旅先で何が待ち受けているか分からない不安は今より大きかったと思います。未知の世界へ踏み出すには覚悟が必要だったんですね。そして新しく生まれ変わる期待をもって自分自身に挑んでいく、そんな勇気の現れだったんですね。

② 汚れのない姿を示す

 仏教では「白」は清浄・純粋・無垢の象徴です。
白装束は、お遍路さんが心身を清め、弘法大師の教えに従って歩むという意思の表れでもあります。
揺れ動きやすい心を定めるために、外見から白くして心が清浄であり続けられるように自分自身を戒めているということなのでしょう。

③実はインドでも巡礼者は白装束

 私は何度かインドの道場や巡礼地へ訪れた経験があるのですが、巡礼者は白い服を着ます。
「白」はインドにおいても純粋さ清らかさを象徴。修行とは内面の浄化を目的とするため、瞑想や祈りの時間にふさわしい「静けさの空間」をつくるために、白が選ばれるのです。

 また、エゴを手放す修行の場でもあるため、白い服を着ることで、社会的な身分・出自・職業の違いが見た目に現れにくくなり、「同じ修行者」として接せられます。
インドからはこのような風習もそのまま伝わっていたんですね。

④他人からの認識(お遍路さんとして扱われる)

 白装束を着ていることで、地域の人々や他の巡礼者からも「お遍路さん」として認識され、道案内やお接待(お布施や食べ物をいただく)などの支援を受けやすくなります。
また、遍路道は個人宅の裏や裏山を通ることも多いので、お遍路さんと分かる方が不審者と間違われにくくなります。

⑤昔ながらのお遍路スタイルが格好いい

 お遍路さんの歴史は古く1200年とも言われますが、実はこのお遍路文化、海外にも知られていて、外国人にも人気があるんです。
特に歩き遍路にチャレンジする外国人は多く、私は区切り打ちで四国に行く度に、海外から長期で通し打ちで歩きに来ているというお遍路さんに会いました。

 「宗教を超えて 歩き遍路がなぜ人気なのか」聞いてみると、

  • 自分自身へのチャレンジと達成感を求めて
  • スピリチャルなスポットへ行き、精神性を高めることができる
  • 美しい自然の風景の中を歩くことができる
  • 地元の人々のホスピタリティに触れられる

以上のように他国には類を見ない精神的な体験ができるなんですね。
お遍路をすることで、自分自身と対話しつつも、このような素敵な文化を継承する一員となっていくことに面白さがあるのではないでしょうか。
 
 ですから、せっかく巡るならお遍路さんらしく、白装束に和袈裟、菅笠スタイルで「同行二人=弘法大師とともに歩む」という信仰を体現していくのもいいかもしれません。
「昔ながらの衣装の方が味があって素敵!」「なりきりたい」という人は、迷わず白装束を選びましょう。

昔ながらのお遍路スタイルで揃えるなら以下のものが必要となります。

1.白衣:長袖と袖なし。綿素材が昔からあるタイプで、最近は伸縮性のある素材のズボンや吸湿速乾のも出ています。

2.菅笠:「梵字」が前、「同行二人」が後ろに来るようにかぶります 。文字なしタイプあり、色や形も異なります。歩き遍路ではあると便利(後ほど紹介)

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3.和袈裟:仏具ショップを検索すると素敵な柄に出会える。お参りの際に着用しますが、トイレでは外します。


4.金剛杖:歩き遍路では持っている人が多い。私はトレッキングポールで代用しました。

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自由な服装で歩くお遍路の魅力

自分らしくいられることで心が軽くなる

お参りのルールや精神性を尊重しながらも、自分が納得して継続できるスタイルを見つけて欲しいです。

服装が自由だと、日常との境界線がやわらぐ

 服装を自由にしてお遍路に行くメリットとしては、ON↔︎OFFの切り替えが素早くできること。
例えば、お参りや目標地点まで行った後、今日はもう修行から離れてゆっくりしたい。せっかく四国まで来たのだから修行の他にどこか観光や食事も楽しみたい、という人は自由な服装の方がいわゆる普通の旅行も自然に楽しめますよね。

 街中の飲食店に入ったり交通渋滞のある国道沿いを歩いたり、人通りの多い場所では、白装束を着て地元の日常の中に入ると注目されるため、恥ずかしく感じる人もいるかも知れません。女性の場合は特に汚れが気になることはあるかと思います。予め計画していた日に雨が降ったり、生理になったりすることもあるので、ズボンが白いと落ち着かないですよね‥
 その点、人目や汚れなど気にしないで済むような服装だと、余計な心配事が減り、心のハードルが下がります。

“型”を捨てることが、内面の旅のはじまりに

 昔ながらのお遍路さんらしい服装が好きだけれも、型にはめようとすることで気がかりな問題が出て来そうと思うならば、初めから自分にとって最適な服装を考えて準備した方がいいですね。
歩き遍路の場合は特に、ネガティブな要素は「気になり出したら止まらない」歩きながら心の中をループして回ることに…
 
 余計な考え事のせいで歩みが遅くなのは勿体無いことです。
フラットな心で清々しく歩けることで、心の奥に閉まってある普段出て来ることの記憶が出てきては消え、浄化していかれるのだと思います。

歩き遍路で押さえたい!実用的な服装のポイント

 重い荷物を背負って1日中歩くことを考えれば、やはりスポーツウェアが実用的です。
綿素材は肌触りや雰囲気はいいですが、汗をかくと乾かず重くなり冷えるため、吸湿速乾の方が断然お勧め

以下に、私が自分なりの快適さを求めて辿り着いた服装をまとめてみました。

季節ごとの快適装備(春・夏・秋・冬)

春・秋(夏と冬以外)夏(5〜10月初旬)冬(12月中旬〜2月末)
アンダーウェア上:
ハーフトップ
機能性インナー(3分袖)

下:
ショーツ
登山用メリノウール靴下
上:
機能性タンクトップ又は
機能性インナー(3分袖)

下:
ショーツ
登山用メリノウール靴下
上:
ハーフトップ又は
タンクトップ(速乾)
裏起毛ランニング用シャツ(9分袖)

下:
ショーツ+膝下サポーター
(極寒日はレギンス)
登山用メリノウール靴下
トップスロンT
寒い日は+メリノセーター
白衣袖なし
Tシャツ+UVカット用アームカバー
又はUVカット薄手シャツ(長袖)
白衣袖なし
メリノセーター(薄手)
ボトムトレッキングパンツ
子供は7分丈
トレッキングパンツ又は
ジョガーパンツ(吸湿速乾)
子供はハーフパンツ
裏起毛ウォーキングパンツ
アウター厚手レインジャケット
予備でインナーダウン
春夏用レインジャケット
厚手レインジャケット
インナーダウン(長袖)

子供はスポーツブランドのジャンバー
又はレインジャケットの下にインナーダウンベスト
部屋着カップ付きタンクトップ、ヒートテックロンT、レギンスカップ付きタンクトップ、Tシャツ、レギンスカップ付きタンクトップ、ロンT、レギンス

メリノウールセーター
(行動着と兼用)

快適に歩き遍路を楽しめる服装の工夫

1.朝晩の気温の変化や強風に対応するため、薄手で吸湿速乾(冬場は保温性重視)の服を重ね着で調整する
 →メリノウール

2.1も2にも汗対策。インナーは特に吸湿速乾が体力温存
→夏はリュックまでビショビショになるし、冬は汗冷えが外気にされされ低体温症になり大変だった💦

3.白衣は気軽に脱ぎ着できる袖なしタイプが便利脇が広いとフリースなど厚手の上からでも着られる。ポケット付きが便利。夏用の吸湿速乾素材でUV加工されていると首の後ろの日焼け予防になる。

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4.アウターには丈の長いレインジャケットを使い回すことで荷物を減らすことができ、雨が降ったり止んだりしても着替えなくても気にせず進める。レインコートに見えにくい方が気楽


5.宿で過ごす部屋着を1着準備する。入浴後に着替えたら、行動着はすぐに洗濯して翌日の着替えに使いまわす。
レギンスなど着回しできる方が、もし行動着が乾かなかったりした場合、レギンスの上からレインパンツを履くなどで代用できる。

菅笠は便利な機能性アイテム

私は最初から菅笠でしたが、これが快適。娘は初めは登山メーカーの帽子でしたが、自分も菅笠がいいと言ってすぐに買い直しました。

①菅笠のお勧めポイント

  • 日除けになり、涼しい
  • 被ったときに頭の上に空間ができて、熱がこもりにくい
  • 雨でも顔が濡れない
  • 少々の雨でも平気だし、菅笠用のレインカバーを付けるとしっかりとした防雨対策に。
  • 山道の時、毛虫が髪につかない(上から何か落ちてきても笠で滑り落ちる)

②菅笠のダメなところ→工夫をすれば大丈夫!

1.五徳が額に当たって痛い
手拭いや薄手のタオルを頭に巻いてから被ると安定する。痛くない。頭の汗が流れてこない。

2.紐調節なので、着脱し手間がかかる。
→¥100均の帽子用ループ紐をつける。子供にはこれをつけました。

菅笠をかぶりやすく固定する商品もありました↓

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雨具、日焼け、寒さ対策、杖などサポートアイテム

雨具は必需品だけど、雨以外では邪魔になるもの。雨の中歩くのは大変なのに、レインコートを着ると蒸れて暑いし重たい‥。そんな悩みを改善したくて色々試してみました。

①雨具

:子供は帽子だったので、軽量の折りたたみ傘を持って行ったが、途中から菅笠にしたので必要なくなった。

レインウェア:途中まで山用で持っていたレインジャケットとレインパンツ

9月。レインパンツをやめて、ザックも被さるレインポンチョを試すが、暑いし蒸れる、山道で裾を踏む、などの理由で元に戻す。

11月。雨の度に出したりしまったりするのが大変なので、着たまま歩けるように、長めの丈で雨と暴風を兼用する秋冬用の機能性ジャケットを購入。これは良かった。

翌4月。暑さ対策で、薄手軽量のレインジャケットを購入。ガサガサしたいかにもレインコートというのが嫌だったので、アウターと兼用できるものを探した。

子供は始めはレインコートのみ。焼山寺の回の前にゴアテックスの山用レインパンツを購入。10月頃アウターが必要になり、レインコートと兼用にする為、ゴアテックスのレインジャケットに買い換え。

②日焼け対策

アームカバー:Tシャツとの組み合わせで。杖を持つ手の甲が焼けやすいので、手の甲までくるものがいい。子供は始め日焼け止めだけだったが、腕が火傷状態になった日があり、以降アームカバー着用させた。

フェイスマスク(首まで):苦しくないように顎の下で首とセパレートのタイプ。日焼け止めは汗ですぐ流れるため、フェイスマスクでカバー排気ガス対策にも良かった。子供はなし

サングラスアスファルトの照り返しがきつい場合のみ着用。

③寒さ対策

(左から上下へ)冬用レインジャケット、ニット帽、カイロ、
メリノセーター、裏起毛ランニングロンT、膝下サポーター
左)モンベルインナーダウンジャケット
右)ユニクロ薄手ダウンベスト(娘用)

インナーダウン:軽量でコンパクトになり便利。レインジャケットの下にインナーダウンを着ると暖かくなる。登山と同じ。冬の朝晩や強風が多い必要。極寒期でも歩いていると暑くなり必要ない場合も、休憩している間は着用し体が冷えすぎるのを防ぐ

手袋:薄手でグリップがついている方がいい。極寒期はないと手がかじかむ。子供が亡くした日は軍手を購入した

レインパンツ極寒時に2重ばきにもできて活躍

裏フリースのシャカパン:金銭的に防寒具を全て山用の機能性ウェアで揃えるのが難しかったので、AEONで防寒パンツを購入。国道沿いは良かったが、登山道はやはり暑くなり蒸れてしまう

ネックウォーマー:首だけでなく冷えすぎて耳が痛くなるため、首から耳あたりまで伸ばせると便利。またスナップボタンで取り外せた方が菅笠を被ったまま装着できる。冷たい強風で心が折れそうになるのを助けてくれる。

④杖:モンベルのコンパクトトレッキングポール

初回はなし。子供が小さかった為、両手を開けておきたかった。

焼山寺の回の前に、山道だけあれば楽なのでは‥と考え、トレッキングポールを購入。(私と子供と1本ずつ)
使わない時や移動の際は短くして、ザックのサイドポケットにまとめられるので便利。

スニーカーorトレッキングシューズか迷ったら

 足は1番気を遣いたいところ。他の人がどんな靴で歩いているか見ると、スニーカー派の人もトレッキングシューズ派の人もいました。自分の足に合う靴を探すのはとても重要ですよね。
 豆もできるし、私は爪が何度も剥がれてしまい、途中で買い替えたら、豆ができなくなった経験があります。

選び方のポイントを別の記事「四国お遍路の持ち物リスト|軽くて快適な歩き遍路のコツ」の3-2に掲載しましたので、よかったら参考にしてみてください。

歩き遍路は“軽やかさ”が鍵

体力に合わせてスタイルを調整する

 私が機能性を追求して服装を変えていくのは、体力が消耗するのが嫌だから。
初回は43歳でスタートし10番寺まで行きましたが、本格的には5年のブランクあり48歳。
普段は心拍の上がる運動を余りしないので年齢と共に体力も少し落ち、子供の分の荷物までサポートしながら山道や長距離を歩くには、「いかに軽くするか」は重要課題だったのです。

 もし体力があり少しの重さを気にしないなら、純粋なお遍路のスタイルを楽しんだり、好きな服を持って行くことができると思います。
 通し打ちでテントや生活用品を全てバックパックに入れてキャンプしながら歩く人、、たまに見かける強者さんにも会いましたね。

 そんなスタイルで自由気ままに行くのも面白そうで羨ましくもあるけれど、私のように今の環境では仕事や家族との兼ね合いで、お遍路にかける時間が限られているという人も多いのでないでしょうか。

「修行」よりも「旅」でいいと気づく

 どんなスタイルであろうと、八十八ヶ所を全部巡って結願したいですよね。道中の苦労は修行なんだから服装ごときで悩んでないで、と言われそうですが、条件の揃った人だけができるものとは思いません。
 制限のある時間の中でも、体力のない人でも、身を軽くすることで、たとえ子連れであっても歩き遍路を続けることが可能になります。旅を通して少しずつ、体も心も強くなって行く経験が大切なんだと思います。

お遍路は心のリトリート

服装の自由が「心の自由」につながる

 伝統的なものに型はつきものですが、お遍路は無形のもの。言い伝えやその土地ならではの文化や信仰は巻き込まれながら、徐々に今の形になっています。白装束がない時代もあっただろうし、決まりごとと言うのは、いつの時代も道徳が欠如しない為のルールとして作られ、後世には塗り替えられて行くもの。
 現代ではお遍路を次世代に残すため、地元の人々によって、敷居を低くして間口を広げる取り組みがなされています。

一日一斉「おもてなし遍路道ウォーク」

 ですから「やってみたいけど大変そう」と行動を制限させている心のブロックを外すためにも、まずは気軽に揃えられるもので1度試してみる。すると1つの経験が次への足掛かりとなって、大きなチャレンジへと心の自由へ繋げてくれるのかも知れません。

自分の価値観を見直すチャンスになる

 大きなチャレンジには何かしらの想いがあります。
何となくやってみたい」というのも、何か自分がしたことのない大きなチャレンジによって自分を試したり、経験を通して何か変わるのか新しい自分を見つけたかったり、未知の世界へ期待を寄せる心の何かがあるはずです。

 お遍路では着る服ひとつとっても、その選択肢を考えることで、何のためにお遍路をするのか、自分の価値観を知るきっかけになります。
自由気ままな旅がしたいのか、修行で生まれ変わりたいのか、また日常の延長がいいのか、非日常へ没頭したいのか、何を基準に動くのかは全て自分次第なのです。選んだものが今自分が大切にしている考えなのでしょう。

歩き遍路でふと湧く気づきが宝物

 歩くことに集中できると、多少の痛みや疲れ、車の騒音や排気ガスなど、ネガティブなことに捉われなくなり、嫌な感情をスルーできるようになります。すると周りの景色が濃くなり、歩きながらどんどん色んなものが目に飛び込んでは消え、ただ見ている感覚だけがダイレクトに残ります。いわゆるマインドフルネスな状態

 そうしてマインドフルな感覚的な時間だけが継続されるうちに歩いていることを忘れ、いつの間にか多くの距離を歩けていたり、考えていたことの答えがふと湧いてきたりする。これがすごく嬉しいことなんです。

 歩き旅ならではの、こういう時間がとても貴重で、身の回りのことを気にしている感情が無くなった瞬間に、こうした気づきが起きてくるんですね。

実際に自由な服装で巡った体験談

初めての遍路は空手の道着

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 私達が初めてのお遍路で着ていたのは、空手の道着でした。子供の習い事で家族で空手を習っていたことがあり、5人分の白装束を買うのが勿体無いからという理由で、家にある道着を持って行きました。

 初日は雨だったので、行き帰りの服はジャージなど汚れてもいい動きやすい服装。1番下の娘は当時幼稚園年長さんでチュニックワンピの下にレギンスを着用。
 子供達のレインコートは、ザックカバーがわりににもなるので、小学校で使っていたランドセルも覆うことのできる丈の長いものを着用、菅笠のない子供達は本格的な雨に傘もさしていました。

暑くて重くて進まなかった!失敗から学んだ服装選び

 初日の雨では、傘が邪魔でしたね。子供達が長距離を傘さしながら歩くと腕が痛くなり辛そうでした。レインパンツがないのも良くなったですね。車が通るたび、水溜りからの跳ね返りが足元に直撃してビショビショに‥

しかもレインコートは重いし暑いと不評。お尻が濡れるから座ることができず、休憩できる場所がほとんどありませんでした。雨に打たれながら必死に歩かせてしまい、初日から娘はダウン。可哀想なことをしました。ごめんね‥

 翌日は快晴。白の道着を着て、いざ。娘も元気に回復していいスタートでした。
しかし、今度は暑い。5月GWの連休に合わせて行ったので、四国は結構気温が上がりました。

道着は綿の長袖長ズボン。暑いし重い。リュックを背負うと空気が抜けず、汗が乾かないので体力が消耗されるのが分かりました。ウエスト部分が紐だったのも不便で、ずり落ちては結び直し、汚さないように裾をまくったり、子供のトイレが大変でした。

 小学3年生と4年生の兄2人は自分で荷物を担ぎ、10番寺まで頑張って歩けていたし、当時は楽しいことも沢山あって覚えていましたが、ブランク空いて再開しようとした時には、「大変だからもうやらない」と言われてしまいました💦
 せっかくやるなら頑張りたいと気合を入れて始めたけれど、子連れで行くには柔軟性が足りなかったと反省しました。継続できてこそですよね。

 この経験から、再び娘が歩きたいと言った時には、6年生の彼女がどうしたら元気に歩き続けられるかを真っ先に考えました。
 まずはブランクから1発目がお遍路転がしの焼山寺が待ち構えていましたから、服装はトレッキングパンツ、ジョギング用の速乾性ロンT、白衣は袖なしの軽量UVカット素材のものへ変更した結果、かなり歩きやすくなりました。
難所を抜けた次の日も、景色を楽しむゆとりができていい思い出となっています。

 こんな風に、体力に負担のかからない機能性の高い服装に変えることで、困難も克服しやすくなり楽しいチャレンジが続けられるならばと、歩きながら気付いた改善点はできるだけ次の回で変えて行くようにしています。

周りの目が気にならなくなった瞬間

 柔軟性のある自由な服装にしたことで、結願という目標に着々と近づいていくと、無目的で始めた娘もだんだん「自分は凄いことにチャレンジしている」という自信が持てるようになり、他人に挨拶すらできなかった娘が少しずつ言葉を返すことができるようになっています。

 体力に自信がなかった私自身も、服装を変えたことで気分的にも負担が楽になりました。
例えば秋冬の服装ですが、アウターを丈の長いレインジャケットに変えたら、雨を気にせず歩けるだけでなく、生理中でもお尻まわりが気にならなくなったり、ザックの腰のホールド位置と被らないことでもたつかなくなったりと、費用対効果大でした。
 毎月体調を壊すことなく出発できることが私達の小さな目標で、反省と改善を繰り返してながら自分達にとっていい状態がキープできているので、他の人と違うことがあっても、自信を持ってお勧めできるポイントになると思います。

まとめ

  1. お遍路さんの服装は実際に歩いている人はさまざま
  2. 白装束を着る意味を考えると、修行としての意図が分かる
  3. 歩き遍路はスピリチャルな精神性を高められる誇り高い文化
  4. 実用的な服装がいい人は、吸湿速乾など機能性の高い素材を選んで
  5. 歩き遍路は軽さが鍵。1つで2役できるものはないか防寒や雨具などで軽量化を図る
  6. 服装を選ぶことで価値観を見直せる。何に趣を置いてお遍路をするか考えるきっかけになる
  7. 常識を捨てると周りが気にならなくなり、目的を果たせる力へ変わっていく
  8. 服装が自由だからこそ歩きやすくなり、歩くことに集中できると気づきを得られる

いかがでしたでしょうか。
歩き遍路はロングトレイルと同じで、しっかりとした対策が気持ちのいい旅に繋がります。

あなたのお遍路が素敵な旅になりますように。

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